磁場を持つ白色矮星なら、チャンドラセカール限界を超えられる——新研究が理論的可能性を示唆

1930年代にインド生まれの天体物理学者スブラマニアン・チャンドラセカールが導き出した法則は、天文学の基礎となってきた。白色矮星の質量は太陽質量の1.44倍を超えることはできない、というチャンドラセカール限界である。相対性理論と量子論を組み合わせた彼の証明は、物理法則そのものが許さない絶対的な制限だと長く信じられてきた。

ところが2003年、超新星遺産探査(Supernova Legacy Survey)は予想外の観測結果をもたらした。チャンドラセカール限界を超えるように見える超新星が検出されたのだ。その後、同様な例が次々と観測されるにつれ、チャンドラセカールの予言は絶対視できなくなってきた。

磁場が電子に「加速」を与える仕組み

最近『天体物理学ジャーナル・レターズ』(The Astrophysical Journal Letters)に掲載された研究は、この謎に一つの答えを示している。白色矮星が限界を超える手段の一つが、強力な磁場の存在だというのだ。

白色矮星は、太陽のような小さな星の最終段階である。燃え尽きた星の中心部が自身の重力に耐え、電子の量子圧力によってバランスを保つ。通常、この電子圧力は重力に対抗できるのは太陽質量の1.44倍までとされてきた。

しかし白色矮星が極めて強い磁場を持つなら、状況が変わる。磁場は電子と相互作用し、電子が静止するのを妨げる。その結果、電子は重力に対してより効果的に押し返すことができるようになる。理論上、このような磁化された白色矮星は、ほぼ太陽質量の3倍まで存在可能になるという。

通常の星から高磁場白色矮星へ

重要な問題は、太陽のような星が本当にこうした強い磁場を保持したまま白色矮星に変わることができるのかという点だった。この研究チームはSTARSという恒星進化シミュレーションプログラムの改良版を用いて、磁場の効果を組み込んだモデルを構築した。

シミュレーションの結果は注目に値する。白色矮星は最初から高磁場である必要がない。垂死の星が赤色巨星に膨張する過程で、外層の大部分を放出してしまっても、磁場は星とともに残る。その後、中心核が白色矮星に収縮するにつれ、磁場も一緒に濃縮される。つまり、ごく普通の星からも高磁場白色矮星が生まれる可能性があるということだ。

この発見は、これまで想定していたより高磁場白色矮星が実は珍しくないかもしれないことを示唆している。また、観測された白色矮星の中には、その質量からは予想できないほど大きく見える例があるが、磁場がこれを説明する可能性もある。2003年に観測されたチャンドラセカール限界を超える超新星についても、この研究は一つの解釈を与えるものとなっている。

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出典: Universe Today