金ナノギャップが生命探査の鍵に アミノ酸の左右構造を単分子レベルで判定
太陽系内での生命痕跡探査には、分子レベルの「非対称性」の検出が欠かせない。タンパク質の構成要素となるアミノ酸は、左巻き構造(L型)と右巻き構造(D型)の二種類が存在する。生命を伴わない化学過程では、この両型がほぼ等量(50対50)の混合状態、いわゆるラセミ混合物が生成される。ところが地球上の生命は、左型アミノ酸によってタンパク質を折りたたみ、右型によって核酸を構築するという特異的な選別を行う。太陽系のどこかで採取したサンプルから、アミノ酸の型に明らかな偏りが見つかれば、それは生命が存在する有力な証拠となるわけだ。
従来法の課題を超える新技術
この「キラリティー」と呼ばれる左右構造の判別は原理的には可能だが、通常は高度な機器と使い捨て化学試薬が必要とされてきた。そうした手法は宇宙船への搭載には不向きで、火星探査機やエウロパへの着陸機といった限られた環境での運用が困難だった。
大阪大学の大塩隆人と谷口正晃が率いるチームが、ネイチャー・コミュニケーションズ誌に発表した新たなアプローチはこの課題を一変させる可能性を秘めている。彼らが開発したのは、固体状態量子トンネリングセンサーと呼ばれるデバイスだ。基本的には金属ワイヤーでできた単純な装置が、単一のアミノ酸分子のキラリティーを読み取れるという革新的な設計になっている。
金ナノギャップという微小な構造を利用したこのセンサーは、複雑な外部装置をほぼ必要としない。搭載性と汎用性に優れた生命探査の新しい道具として、今後の太陽系探査ミッションでの活用が期待される。
関連動画
出典: Universe Today
