太陽表面が磁場の「折れ曲がり」の起源だった—Solar Orbiterが謎の構造を追跡
太陽風の磁場に生じるS字形の折れ曲がり「スイッチバック」の起源を、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)主導のSolar Orbiter宇宙機が太陽表面まで遡って特定した。この成果により、太陽磁気がいかに危険な太陽嵐をもたらすのか、その仕組みの一端が明かされた。
粒子の「指紋」が太陽表面を指し示す
研究を主導したフランスのCNRS/LPPのJesse Coburn氏によれば、Solar Orbiterが非常に大規模なスイッチバックを通過したことが鍵となった。その際、めったに観測されない粒子を採取でき、その粒子が「生まれた場所を示す痕跡」を持っていたという。
Solar Orbiter搭載の太陽風分析装置(SWA)でスイッチバック内のプラズマを分析したところ、酸素と炭素の帯電粒子が特定の混合比で検出された。この粒子の組成は、太陽表面の高温磁場ループ内でのみ形成される。つまり、スイッチバックの粒子たちは太陽大気深くから生まれていたのだ。
観測時、Solar Orbiterは地球と太陽のほぼ中間地点にいた。研究チームは、太陽の円盤画像を分析し、太陽とその周辺空間の磁場をモデル化することで、粒子の発生源を特定した。その際、NASAのSolar Dynamics Observatoryのデータと組み合わせることで、スイッチバックの太陽源を前例のない詳細さで明らかにすることができた。
形成のプロセスは「両方」だった
太陽風の形成メカニズムには、これまで二つの競合する理論が存在していた。一つは「インターチェンジ再結合」というプロセスだ。太陽大気では、異なる磁気特性を持つ領域が相互作用する。開放領域は磁力線が宇宙空間へ広がっており、物質はそれに沿って宇宙へ流出する。一方、閉鎖領域は磁力線が一度は宇宙空間に伸びるものの、太陽に引き戻されて閉じたループを形成する。開放領域と閉鎖領域が接触すると、磁力線が密集し、異なる形で切れて再結合し、ループ内に閉じ込められていたプラズマが宇宙へ放出される。
今回検出された粒子の特定の組成は、このインターチェンジ再結合を示唆する「決定的な証拠」である。
だが物語はそこで終わらない。Northumbria University のStephanie Yardley氏ら共同研究者は、スイッチバックが太陽を離れた後、波動と乱流の痕跡も検出された。太陽風の加熱と加速に重要な役割を果たす波動が、スイッチバックが宇宙を移動する際の挙動を支配しているとみられる。
つまり、インターチェンジ再結合と波動・乱流の両プロセスがスイッチバックの形成と伝播に関わっており、二つの理論は互いに矛盾するのではなく、スイッチバックの異なる段階で作用していることが判明した。
