月面活動の安全確保へ、宇宙飛行時の医学的リスク評価が進行中
NASA傘下の専門家グループが、宇宙飛行中の減圧症(Decompression Sickness, DCS)と静脈血栓塞栓症(Venous Thromboembolism, VTE)、そして卵円孔開存(Patent Foramen Ovale, PFO)に関わるリスク評価をまとめた。アルテミス計画による月面および宇宙探査を視野に入れ、船外活動(Extravehicular Activity, EVA)の事前呼吸テストと実際の宇宙飛行中の医学的事象を中心に検討する作業グループが組織されている。
この評価パネルには、Michael Stenger、Joe Dervay、Steve Piper、Dave Francisco、Craig Kutz、Matthew Makowski、Alex Garbino、Hiroki Bochimoto、Doug Ebert、James Locke、Raffi Kuyumjian、Mark Crowther、Stephan Moll、Doug Ebersole、Mike Gernhardt、David Southerland、Sarah Taoufik各氏が参加した。
過去の知見を統合した総合的リスク管理
作業グループの提言は、複数の先行研究を基礎としている。2024年9月にまとめられた「宇宙飛行環境および地上試験における減圧症に関連する卵円孔開存の評価」(NASA/SP-20240010473)と、2026年4月の「宇宙飛行中の静脈血栓塞栓症リスク評価作業グループ」(NASA/SP-20260005258/REV1)の成果を統合。さらにNASA-STD-3001 Volume 2(人的要因・居住性・環境保健に関する標準)改訂版Fに示された減圧症予防基準をも反映させている。
特に注目される点は、卵円孔閉鎖を含む危険軽減戦略が検討の中心に据えられたことである。これまでの地上試験データと宇宙飛行中の実際の医学事象を統合分析することで、より実効的な飛行前スクリーニングと対応策の確立を目指している。
