心臓専門医がBlue Originで宇宙へ—商業宇宙飛行時代の成功の条件
イラン生まれ、アメリカで心臓内科医として働いていたエイマン・ジャハンギル医師は、2024年8月のBlue Originのフライトでカーマン線を超え、商業宇宙飛行による初の心臓専門医宇宙飛行士となった。彼の経験をまとめた著作『A Heart for Space』は、単なる回想録ではなく、宇宙を目指す者たちへの実践的なガイドになっている。
二つの夢を持ち続けて
ジャハンギア医師がイランで生まれたのはイラン・イラク戦争の時期だ。4歳のときにナッシュビルへ移民した両親のもとで、彼は早期から医者になることと宇宙へ旅することという二つの夢を抱いていた。医学部の卒業までは比較的直線的だったが、宇宙への道は異なっていた。医学部を卒業後、ヴァンダービルト大学医療センターで心臓内科医としてキャリアを築いたものの、最初の夢を実現させることは容易ではなかったのだ。
当初、宇宙へのアクセス手段はNASAしかなかった。ジャハンギア医師はNASAの宇宙飛行士選抜プロセスで複数回最終段階に進んだが、選ばれることはなかった。それと並行して個人的な困難も重なり、夢はますます遠のくように見えた。
民間宇宙産業がもたらした道
状況が変わったのは、民間宇宙産業の台頭によってだ。新しい宇宙アクセスの可能性が広がる中、ジャハンギア医師は興味深い人物たちと出会った。現NASA長官ジャレッド・アイザックマン、イスラエルの宇宙飛行士で起業家のアイタン・スティッベなど、世界的な対立関係にある地域出身者でも、宇宙への情熱で結びつくことができた。
最終的にジャハンギア医師がBlue Originのフライトチケットを確保したのは、MoonDAOという分散自律組織(DAO)を通じてだった。NASAから5度の不採用を経験し、バイオスフィア2での研修を受けた後、こうしたルートが彼の宇宙への夢を実現させた。
『A Heart for Space』において、ジャハンギア医師は中核となる主張を明確に述べている。宇宙への道はもはや政府の選抜委員会による「正しい素質」の有無で決まるのではなく、究極の夢に向けて一貫して歩み続ける体系的で反復可能なプロセスが必要だということだ。『Say It Out Loud』や『Define Your Dream』といった他の自己啓発書でも扱われている要素もあるが、商業宇宙飛行時代における宇宙飛行士志望者への応用は新しく、読む価値があるとされている。
現段階では、コネクションや経済力のある限定的な層しか高額な宇宙旅行チケットにアクセスできないのが実態だ。ただジャハンギア医師のような事例は、この状況が近い将来急速に変わる可能性を示唆している。
出典: Universe Today
