ビッグバンから7億年後の銀河で、星形成ガスの直接検出に初成功
ビッグバンから7億~8億年後に存在していた4つの銀河から、中性ガスの直接検出に国際研究チームが成功した。この発見は、宇宙最初の星がどのように形成されたかを解き明かす手がかりになる可能性を秘めている。
研究を主導した千葉大学先端科学センターの助教授・布施哲暢氏のチームは、チリ北部に設置されたアタカマ大型ミリ波・サブミリ波干渉計(ALMA)を用いて観測を実施。成果は天文学専門誌『The Astronomical Journal』に掲載された。
紫外線に汚されていない古代の星形成ガス
中性ガスとは、太陽放射によってまだ原子が電離していない状態のガスを指す。星形成の初期段階で重要な役割を果たすとみられるが、紫外線や可視光、赤外線を放出しないため、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)やハッブル宇宙望遠鏡といった光学系の観測装置では捉えられない。ALMAの高感度分光観測機器だからこそ、この課題に対応することができた。
研究チームは、赤方偏移(z値)が6.58~7.68の範囲にある4つの銀河を対象に、電磁波スペクトラムの特定波長における放射線(発光線)のピークを測定。赤方偏移の値は、宇宙が現在の年齢の5~6パーセント時点、すなわち約700~850万年後に相当する。中立酸素原子を放出する[OI] 145マイクロメートル発光線を用いて中性ガスを特定し、併せてイオン化ガスである[NII] 205マイクロメートル発光線も探索した結果、イオン化ガスはほぼ検出されず、4つの銀河すべてが中性ガスで構成されていることを確認した。
宇宙の黎明期は星が密集していた
興味深いのは、JWSTデータとの比較分析で浮かび上がった、古代銀河の構造的特徴である。現在の銀河では星が広く散在しているのに対し、ビッグバンから7億~8億年後の4つの銀河は星の密度が極めて高く、コンパクトな構造を示していた。つまり、宇宙初期の星たちは、今日見られる星々よりもはるかに近い距離で形成されていたことになる。
布施氏は「今後、より多くの銀河サンプルを観測対象に加え、ALMAとJWST、その他の観測施設を組み合わせることで、宇宙の夜明けから現在に至るまでの銀河形成・進化の全貌を解き明かしたい」とコメント。「このような基礎研究は、宇宙がいかにして現在の姿になったのか、そして我々の銀河系がいかにして今あるのかという、人類の最根本的な問いに答えるものである」と述べている。
出典: Universe Today
