X線天文衛星が初めてとらえた「恒星風を食べるパルサー」

中性子星が巨大な伴星からの恒星風を直接吸収する現象を、X線観測衛星が初めてとらえた。NASA宇宙物理科学部門などの国際研究チームが、約13,000光年離れた南十字座のBP Crucisという連星系を調査し、その詳細な仕組みを明らかにした。

6時間で激変する吸積円盤

観察対象は、質量が太陽の約40倍もある青色超巨星Wray977とその伴星である中性子星GX301-2からなる系である。Wray977はあまりに巨大で、常時イオン化した星風を放出しており、その流れがGX301-2へ向かう。11分周期でX線ビームを地球へ送るこのパルサー(GX301-2)が恒星風を捕捉すると、強いX線フレアが発生する仕組みになっていた。

これまで天文学者はX線連星系を長く研究してきたが、巨大恒星の放出物が小さなコンパクト天体に直接吸収される過程を観測したのは今回が初めてだという。

XRISM衛星の高分解能データが暴露した驚異

2025年2月1日、X線撮像・分光ミッション(XRISM)がResolveという機器を用いてこの系を観測した。強いフレアが終わりかけた時期を狙い、16時間にわたって極めて詳細なX線スペクトルと急速に変化する吸収線を記録した。その中には高度にイオン化した鉄も含まれていた。このデータが初めてパルサー近傍でのプラズマの速度と方向を直接的に明かした。

吸収線が低いエネルギーへシフト(赤方偏移)していたことから、プラズマが観測者から遠ざかっていることが確認され、その速度は時速約540,000キロメートル(時速約335,000マイル)と算出された。

理論の実証:ディスクの出現と消滅

研究成果は科学雑誌『Science Advances』に発表された。データが示したのは、パルサーが恒星風の中を移動するにつれ、風が厚く乱流状の円盤へと掃き込まれる現象である。この吸積円盤は超大質量ブラックホール周りのものと同様に、プラズマが螺旋状にパルサーへ落ち込み、極限の温度に加熱されて強力なX線を放出する。ところがパルサーが流れからさらに遠ざかると、角運動量不足により円盤は崩壊し、プラズマが中性子星へ直接降着するようになる。その段階がXRISMの観測と重なったという。流れが終わりに近づくと、円盤が一度再出現するが反対方向に回転し、やがてパルサーが流れを抜けるとともに消えてしまう。

NASA Goddard宇宙飛行センターのミッション計画科学者Brian Williamsは、BP Crucis系は恒星風により駆動されるパルサーの吸積を研究する理想的な実験室であり、XRISMのResolveの高感度・高分解能が関連プロセスの理解を進める上で不可欠だと述べている。研究チームはNASA Goddardの他、宇宙科学技術センター(CSST)、Manipal自然科学センター(MCRS)、イスラエル工科大学、米国海軍兵学校、Lawrence Livermore国立研究所(LLNL)、複数の大学から参加した。

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出典: Universe Today