太陽が消えたら地球はどうなるのか。NASAの研究チームが、この壮大な仮説シナリオを科学的に検証する「太陽停止シリーズ」の第1部を公開した。タイトル「The Infernal Reservoir(地獄の貯蔵庫)」が示すのは、太陽の核融合が止まった直後、地球に残された熱がもたらす劇的な変化である。
地球に残された熱エネルギーの行方
太陽からの光が途絶えれば、地球の気温は急速に低下するだろう。しかし直後に起こるのは、想像以上に複雑な現象だ。地球の内部には、放射性物質の崩壊によって生成された膨大な熱が存在している。地殻内のウランやトリウムといった元素が放出するエネルギーは、年間約47テラワットに達するとみられる。太陽光を失った地球では、この内部熱が地表を温める唯一の主要熱源となる。
研究によると、太陽が停止した直後の数日間で地表気温は氷点下に落ち込むが、地球内部の熱は徐々に地表へ向かって放散されていく。最初の数カ月間、地球はまるで巨大な冷却する鉄球のように振る舞う。大気圏全体が冷え込む一方で、火山帯や地熱地帯では驚くほどの活動が活発化するだろう。
惑星規模の熱対流とその影響
地球内部の熱が地表に向かう過程で、マントル対流と呼ばれる大規模な熱移動が加速するとされている。この現象は数十年から数百年単位で進行し、地球全体が「地獄の貯蔵庫」から熱を放出する過程そのものとなる。火山活動の激化は二酸化硫黄やアッシュを大気へ放出し、残存する大気層に影響を与える。
この研究は、地球の長期的な熱力学的性質を理解する上で重要な知見をもたらしている。惑星科学者たちにとって、このシナリオは他の岩石惑星がどのように冷却し、地質学的に死滅していくかを予測するモデルにもなり得る。地球のような惑星の内部熱が気候と生態系に及ぼす影響を再認識させるものである。NASA の次の公開予定は、第2部で太陽停止から数世紀後の地球の姿を描くとみられる。