地球外生命の兆候を探索するため、天文学者たちが複数の望遠鏡を連携させた「望遠鏡群」の構想を進めている。個別の観測施設ではなく、多数の小型望遠鏡をネットワーク化することで、従来の単一望遠鏡では不可能な高い解像度と感度を実現しようとする野心的なプロジェクトだ。
望遠鏡群戦略の革新性
構想されているのは、数十個から数百個の小型望遠鏡を世界中に分散配置し、観測データを統合処理する「干渉計(interferometry)」技術の応用である。この手法により、仮想的に非常に大きな望遠鏡と同等の性能を得ることが可能になるとみられる。従来型の巨大望遠鏡建設には莫大な資金と時間が必要だが、複数の小型施設なら段階的な整備が容易で、費用対効果が高いという利点がある。異なる地理的位置からの観測データ融合により、宇宙の微細な構造をこれまで以上に鮮明に捉えられるのが最大の特徴だ。
系外惑星の生命兆候を探る
このシステムの主要な目的は、遠い恒星系に存在する地球型惑星の大気組成を詳細に分析することにある。惑星が恒星の前を通過する際に星からの光が大気を透過する「トランジット分光法」により、酸素やメタンといった生物由来ガスの有無を検出するのだ。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が近年成功させた分析手法をさらに高度化させることで、より多くの系外惑星を効率的に調査できるようになるとされている。地球から数十光年以内の有望な惑星候補に照準を絞ることで、現実的な時間軸での発見を目指しているのだ。
国際協力による実現可能性
このような大規模プロジェクトの実現には、複数国の天文台や研究機関の連携が不可欠である。欧米の主要天文学者グループが設計構想をまとめており、今後の予算獲得に向けた国際的な議論が加速するとみられる。日本の国立天文台も注視しており、本国の観測施設との連携可能性を検討していると考えられている。2030年代の本格稼働を想定した準備が進められている。